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あなたと過ごした時間は、きっといちばん大切な宝物。
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やってしまいました…。
1日に2回ブログUPとは…。

文字オーバーになるとは思ってませんでした(笑)

それでは、前記事の続きをどうぞ。

しかし…はむさんぱねぇ(ぁ

あれですね、マグロスーツ着たはむさんはなんでもあり!(真瑠談)
だそうです。

次回UPは来月ですが、また良ければ読んでください。
浅祇 紗杷でしたっ。




近づく程、遠くなる…。
本当はずっと傍に居たいのに、思ってもいないことを口にしてしまう。
ちょっとしたことで嫌になり、相手がきつくても自分の思いをぶつけてしまう。
人は簡単に傷つくから、大事にしなきゃいけないのを分かっているのに…。
本当は大好きで、愛していたくって…。
優しさに甘え、甘えすぎて裏切るようなことになってしまうのは何故だろう...。
愛を祈りに変えて、例え涙が流れても、大事な人を大切な人を想っていたい...。
そして、いちばん言いたい言葉は・・・。

「愛してくれてありがとう」




――― 氷の洞窟 3F

「MOBは普通に存在してるのね…」
ママが呟く。
「そらそうでしょ、トールを基地にしてた時だって、入り口入るまでは普通に居たじゃん」
ヴォゴスが言う。
「まぁ、そうだけど・・・」
「取り敢えず、真ん中まで行こうか」
たばこが全員を促す。
イーグルを先頭に、全員が歩き始めた。
「そう言えば、氷の粉って誰か持ってるの?」
百合が問う。
「それも、ニルエン大神官から預かってますよ」
リニアが答える。
「じゃぁ大丈夫だねー」

3F中央にある、四方をトールの火で囲んだ中心に4Fへの入り口が開かれる円盤がある。
四方にあるトールの火を氷の粉というアイテムで消去すると、氷の洞窟のMVPモンスターである、クトルラナックスが現れる。
中央に行く間、寄ってくるモンスター、スノウアー、ゲイズティ、アイスタイタンなどを打ち倒し、無事中央に着くと、リニアが全員に目配せをし、氷の粉を四方にあるトールの火にかけていった。
九里虎が金剛状態になり、百合がランドプロテクターを張る。
ママは九里虎とイーグルにセイフティウォールを張り続けながら、全員に支援を回した。
ファインは、弓を構えダブルストレイフィングの準備をする。
真瑠は魔法力を増強し、出現に備えていた。
ヴォゴスはブラギを展開していた。
リニアが火を消し終わると、弾幕がダンジョン内にこだました。

トールの炎は監視と誓いの炎!! それを消した者がいる!!
我、クトルラナックスはこの氷の洞窟の主として
トールの炎から、すべてを守る!
おろかな人間よ!
お前は、自分の拙い好奇心によって、
大自然の息まで凍らせる酷寒の苦痛を味わうだろう!

固定出現位置に現れたクトルラナックス。
九里虎が抱え込み、イーグルが補佐をする。

クトルラナックスが出現早々、広範囲ディスペルを使う。
全員に、リニアとママが支援をかけ直し、真瑠はブラギを有効利用し、無詠唱で風系魔法を連打で展開する。
ファインが立て続けにダブルストレイフィングを繰り返す。
百合が生命力変換で、PTメンバーにSPを供給。
ママがセイフティウォールを出しながら、百合が居る位置にサンクチュアリを置く。
そんな中、他のモンスターがやってくるため、ヴォゴスがアローバルカンで返り討ちにしたり、ファインが攻撃をして倒す。
たばこも周囲にやってくるモンスターの処理をしていた。
ランドプロテクターを置いている為、ある程度の敵の魔法は防げるものの、やはり敵の水属性の各種魔法が強烈な為、時々ではあるが痛々しいダメージを全員が食らっていた。
「結構痛いね・・・」
ママがつぶやく。
「だいぶ削ったからもうちょいだよ」
真瑠がみんなを励ます。
「回復剤が尽きそう…ヒール欠かさないで」
九里虎とイーグルがきつそうな声をあげた。
それもそうだろう。
九里虎がクトルラナックス本体を抱え、イーグルがその取り巻きを抱えていたのだ。
「こいつ落ちたら、俺が先に内部入って調べてくるから、全員その後から一緒に内部に入ってくれ。俺だけ別行動を取る」
たばこが全員に指示を出す。
「おk、それで行こう」
真瑠が返事をした。
他のみんなも頷く。

「魔法力増強!! ユピテルサンダー!!」
「ダブルストレイフィング!!」
真瑠と、ファインの攻撃が入った瞬間、クトルラナックスが倒れた。

オーディン!!どうか、トールの炎からここを守ってくれ!

クトルラナックスが瀕死になった証拠に、弾幕がこだました。
その時だった、ダンジョン内に急に地震が起きた。
「うわっ、なんだこれ・・・」
「立ってらんないよ!」
ダンジョン内で、上から落下してくるものを避けながら、みんなが体勢を整えようとしていた時・・・。
何かが地底から現れた。

ゴリゴリゴリ…。
何とも奇妙な音がする。
一瞬モグラか何かかと思ったが、違う。
見た目はサメだった。
「ちょw」
「水もないのに何でサメが・・・」

地底から穴を掘って?出て来たのは、他でもないマグロスーツの上に、サメスーツ?を着たはむだ。
「んー、ここはどこザメか?」
と、はむが周囲を見渡すと、目の前に倒れた氷の鰐が目についた。
「またまたーん。これは強敵ザメね。でも私の尾で一撃ザメよ~」
んふふ~とか言いながら、はむはクトルラナックスをそのサメ姿の尾ではじいた。
「ん?動かないザメね。早くどいてザメ~。マスタの匂いがしたからここに来たんだから…」
動かないクトルラナックス・・・、それもそうだ。
今、真瑠達が瀕死になるまで攻撃を与え続けたのだ。
早々動かれては困るものだ。
「仕方ないザメ。この氷の鰐も被るザメ~」
はむはのそのそと、クトルラナックスの口を頭のカマで開け込み、中に身体を刷り込ませた。
「よし、強化完了!!マスタを探すワニ~」
そう言うと、はむはまた沈んでいった。
こちらの方には全く気がつかなかったようだった。

「今のは一体・・・?」
「あれもモンスター?」
「いや、まさか…」
PT会話で謎解明が始まった。
事情を知ってる真瑠は言おうか言うまいか悩んだが、とりあえず、目先のことをと思い、全員を促した。
「取り敢えず、4Fへ行こう。たばこさんもう行ってくれてる」
「そうだな、そっちが先だ」
イーグルが話に乗る。
「行きましょう」
リニアの声に全員が頷き、4Fへ入っていった。


――― 氷の洞窟 4F

奥へ真っ直ぐと続く道。
たばこ以外の全員が、ゆっくりとその道を歩いて行く。
迷うことも無く、全員が突き当たりに着いた時、信じられない光景が目の前に現れた。
「あれは・・・」
ヴォゴスが指を指した方向には、氷に包まれたものが二つあった。
「片方、紗杷さんじゃない?」
百合が確認するように言う。
「ホントだ…」
イーグルが納得した様に言った。
「じゃぁもう片方は…教皇の兄弟?」
ママが確認する。
「だな。そうなるな…」
九里虎が頷く。
「この氷、どうやったら溶けるんだったかな…」
リニアがごそごそと、ニルエンに渡された紙包みを開ける。
そしてその紙包みから、1本の棒を取り出した。
その棒を持っていたランタンに近づけた。
みるみるうちに、その棒は1本の立派な松明に変化した。
その松明を持って、リニアが目の前に居る、氷に包まれた二人に近づけた。
「ちょっと、やってみますね」
リニアが全員に伝えた。

「今、これを以って、戒めを解き放つ。能力解放!!」

リニアが何らかの呪文を唱えた。
その瞬間、二人を包んでいた氷が綺麗に舞い散るように消え去り、ルーミンとだりあが氷像になっている状態から解放され、落ちてきた。
が、ルーミンをリニアとママが、だりあを真瑠とファインが支えた。
「…異様に冷たい」
ママがルーミンに触れた感触に違和感を感じる。
「でも息はしてるみたい」
リニアも感触を述べた。
「さわさんは…息してない。っていうか氷に閉じ込められていたのが嘘のように熱い…」
真瑠が告げたその時、たばこが現れた。
「早く!書状は後だ。先にポタ乗って戻って!事情も後だ!早く!!」
たばこに急かされ、ママがワープポータルを出す。
九里虎、百合、ヴォゴス、イーグルが乗り込む。
リニアがルーミンを抱えながら乗り込んだ。
真瑠とファインがだりあを支えながら乗り込もうとした時に遠くから声が聞こえた。
「何をしている!? 待て!!」
声からして龍だろう。
「俺が足止めをする。早く乗って!!」
たばこが急かしながら、龍に対して攻撃を始めた。
全員が乗り込み、たばこもそれを見て、ワープポータルに走って乗り込んだ。
ワープポータルを出したママも乗り込む。
「くっ…逃げられたか。しかし、何てことをしてくれたのだ…。折角我の野望が叶う所だったのに…」
龍が舌打ちをする。
しかし、悔やむ暇も無く、4F内が崩れ始めた。
「な、何事だ…」
急進派の兵らしき者が、龍の元へ現れた。
「申し上げます!クトルラナックスが暴走し、このフロアが壊滅しかけています。それから、ビルド大神官様、ケイタ様…共にクトルラナックスが殺害した模様…」
「なんだと!?二人の息はもう無いというか!?」
「はっ、それが…ビルド大神官様は確かにお姿もあり、息を確認致しましたが、もう…。ですが、ケイタ様の姿は確認が取れていませんが、クトルラナックスにやられるところはこの目でしかと確認致しました」
「ふむ、そうか。取り敢えず全員この場から引き上げだ。洞窟入り口に集合するように。汝らの命が最優先だ」
「畏まりました」
兵が下がり、龍はその場に立ち尽くした。
「ここに居てももう仕方が無い…。うちのギルドの団結力は計り知れぬな。大人しく戻るとしよう」
龍の姿が一瞬にして消えた。

氷の洞窟は1F~3Fを残し、4Fだけが崩壊した。

――― ルーンミッドガッツ王国 ゲフェン

「危なかった…」
たばこが冷や汗を書いた様子で普段の定位置に座った。
リニアはルーミンを支えながら、ママと一緒に居た。
九里虎と百合は隣同士で座っていた。
ヴォゴスも定位置に座り、イーグルもいつもの位置にいた。
真瑠とファインがだりあを支えて居たが、明らかに二人の表情が暗かった。
「ねぇ、さわさん息して無いけど、脈はあるんだ…。このままじゃまずいよ」
「さわねー…一体何があったん?」
ファインの問いかけにリニアが今回の行動になった経緯を簡単に説明した。
「そういうことが…」
ファインの表情は暗いままだ。
「ファインくん」
真瑠がwisで話しかけてきた。
「んー?」
ファインも言葉を返す。
「この世界に来たとき、ファインくんどんな感じだった?っていうか、どこにいた?」
「俺はずっとプロに居たよ。着いた時、誰も居なくて、普段ならPCを介して居るはずの場所に居たからな」
「ふむ、そうだったか。実は俺が来る前にさわさんが既にこの世界に居て、ここの溜まり場で会ったから行動を共にしてたんだけど…、その時にファインくんの幻影をさっきの人らの仲間?から見せられたんだけど、さっきの人らに関わったとかは無かったってことでいいのかな?」
「全く無いね。着いてからプロを歩いてたし、知り合い誰か居ないかなとか思ってたし」
「スナ以外のキャラになったのは?」
「PC介してならCCも出来るけど、実体ではどうやるのかすらわからんよ」
「だよな…俺もHiwizから変わる方法がわからん」
「だから、スナ以外にはなってない」
真瑠がファインからの話を聞いて、疑問が一つ浮かんだ。
じゃぁ、あの時にさわさんが、Hiプリで繋いでる…と言ったのも、あっちの仕業だったのか…?

溜まり場で、取り敢えずクトルラナックスを倒し、二人を何とか救出した疲れを癒していた全員だったが、二人の容態が思わしくないことに不安が隠せないでいた。
その暗い雰囲気を一人の訪問者が破った。
「お見事でした」
どこから現れたのか、ニルエン大神官その人が現れた。
「ニルエン大神官…!?」
「よく二人を救出しましたね。ですが、様子が…。事情も知りたいので、取り敢えず私の術で移動をしましょう」
ニルエンが何か呪文を唱え始めた。
周囲の風景がぐらつき、とうとうゲフェンの街並みすら分からなくなった時、全員ある場所へ移動していた。
「ここは…教皇執務室!?」
全員が驚きを隠せなかった。
「何て術だ…」
「さすがは、大神官と言うだけあるな…」
「うちら、ニルエン大神官含めなくても、ルーミン入れて11人だぜ」
PT会話でそんな話でもちあがっていた。
そこに踵を返す声が聞こえる。
「教皇様のおでましだ」
ジェドもその場に居たのだ。
無論、人払いをしてあり、その場にはニルエンに連れてこられた全員と、ニルエン、ジェド、そして現れた教皇だけだった。
「よくやってくれました、リニア。そして皆さん。改めて礼を言います。取り敢えず…」
教皇はニルエンの方へ視線をやった。
「ニルエン、我が兄を奥へ…」
「分かりました」
リニアとママは、ニルエンにルーミンを引き渡した。
ニルエンはルーミンを抱え、教皇執務室の奥にある部屋へ入っていった。
「それから…、あなたは真瑠、そしてあなたはファインという名前でしたね」
真瑠とファインは目を見合わせた。
「ふふっ、よく覚えているなという顔をしていますね。私はここでずっと祈っているしか出来ない身です。ジェドとニルエンがここへ連れてきてくれた冒険者の名前はしっかりと覚えています。あなたはヴォゴス、あなたはmarlboro、そしてあなたはイーグル、こちらの方は九里虎、そして百合…。リニアと一緒に居るのは、桃颯沙ですね?」
教皇は嬉しそうな表情をしていた。
「また会えた事を嬉しく思います。それでは、本題に入る前に、彼女を…浅祇 紗杷でしたね。彼女を助けることをしなければなりません」
「息が…止まっているんです。でも体温は高くて…」
真瑠が報告する。
そこにジェドが入る。
「まさか、儀式が進んでいた…ということでは」
「そのようです」
ニルエンが割り込む。
「ルーミン様の様子を見て参りましたが、瞳の色は変わらずでしたが、フレイヤ様の化身という素質の能力が抜け落ちています。それが彼女に移りきってしまっている。これでは彼女が目覚めた時、フレイヤ様の化身になりえるかもしれない…、そのような状態でございます」
「それは本当ですか?ニルエン大神官」
ママがニルエンに聞きなおす。
「本当です。彼女が息をしていなくても、生きているのが証拠です。フレイヤ様は深い眠りについておられる。ですが…息はしていなく、でも身体がとても温かいという話…、ですから、我々は眠っておられると考えているのです」
「教皇様、少し調べたいことがあるのですが、宜しいでしょうか?」
ジェドが教皇へ許可を求める。
「いいでしょう、ジェド。構いません」
「ありがとうございます。すまないが、真瑠、ファイン…」
だりあは、ファインの肩に寄り添うようにして気を失っている。
その身体を支えているのが真瑠だった。
「彼女の左手首が見れるように、袖をずらしてくれないか…?」
その言葉を聞いて、ママが立ち上がり、だりあの元へ行き、袖を捲り上げた。
「そういうことなら、私がしますよ」
ママが「何でも言って!」という感じで言った。
「すまない、桃颯沙」
ジェドがだりあの腕を確かめる。
他のみんなもその様子を伺う。
横に居た真瑠、ファイン、ママはその様子を直に見れた為、動揺を隠せなかった。
だりあの左手首に無かったはずの紋章が表れていたのだ。
「その紋章…」
教皇が驚いていた。
自分の手首を見せながら、だりあのと見比べる。
「同じだ!でも色が違う…?」
リニアが首を傾げる。
ジェドが説明を始めた。
「この色…、教皇様のは黄色に白がかかったような色。これが本当の化身だ。だが、彼女の色は紫…、彼女自身が拒否反応を示している。化身になるのを…」
ニルエンも口を挟む。
「紗杷は、私が話したときも気さくで、我々に対しても協力的な子でした。何が起こっているのか分かっていると思っていいのでしょう。ですがこのままでは…二人とも助からない」
「何か方法はないの?」
百合がジェド達に向かって聞いた。
「あるにはある。だが…」
ジェドが口ごもる。
「とても危険です。我々の能力では出来ません。ですが…紗杷自身が拒否を示しているならば成功するかも知れません」
「その方法というのは?」
百合がさらに聞く。
「…今かかっている術を完全に終わらせてしまう、ということです」
ニルエンが伏せ目がちに言った。
「その、今かかっている術って言うのは何なんだ?」
ヴォゴスが聞く。
「組織創世術と言って、能力を他人に移し、その移された者が新たな能力者となる術だ。これに関しては、成功すれば確かに能力は移るが、失敗すれば元に戻るだけだ。ただ、今の現状では能力事態は移りきってしまっている。どう考えてもユミルの心臓の欠片を用いて、強引にやったとしか見えない。だが術自体を終わらせるにはかなりのハイレベルの魔術者の能力が必要だ」
「つまり…術を終わらせてしまい、成功ではなく失敗に導けば二人は生き返ると…?」
イーグルも話に加わる。
「そういうことだ。が、しかし…成功してしまった場合、ルーミン様の命が…」
ジェドが懸念した表情になる。
「…俺の魔術力じゃ、適応しないのかな?」
真瑠が急に言い出した。
「あなたは、ハイウィザード…それにかなりの経験を積んでいますね」
教皇が問う。
「ですね、既にオーラ…経験値は最大値まで得ています」
「真瑠さんにやってもらうしかないのでは?」
百合が告げる。
「だってそれしか他に方法が無いのでしょう?信じてやってみるしかないのでは…?」
教皇は伏せ目がちに悩んでいた…が、やがてその沈黙を破った。
「やってみましょう。真瑠…、紗杷を連れて奥の部屋へ。ニルエン、手解きをしてあげてください」
「わかりました」
ニルエンが返事をした。
ファインから真瑠へ、だりあの身体を預け、ニルエンと一緒に奥の部屋に入って行った。
「取り敢えず、私たちは…急進派の方の話をしましょう」
教皇が話を切り出す。
「それなら、俺から…。一応内部を見てきたので報告します」
それに対し、たばこが話し始めた。


――― 教皇執務室 最奥

「ここは…?」
真瑠がニルエンに問う。
「ここは、空中庭園…、教皇様がお祈りを捧げる場所です」
見渡すと、周囲には綺麗な花がたくさん咲いていた。
標高がかなりあるのに、植物が育つとは…。
「真瑠、ルーミン様の隣に、紗杷を」
「分かりました」
そう言われて、真瑠がだりあを横たわらす。
「私が、術の指揮を取ります。真瑠はそのまま能力を高めることに集中してください」
真瑠が頷いた。
「では、始めます」
ニルエンが祝詞らしき呪文を唱え始めた。
真瑠が精神集中を始める。
そんな中、心の中にニルエンからテレパシーらしきものが飛んでくる。
『邪念は捨てて、一心に集中して!』
真瑠が必死に魔力を高めていく。
その魔力をニルエンが扱い始めた。
真瑠の魔力をニルエンが差し出した自分の手のひらの中に溜め込んで行く。
『もう少しです、頑張って!』
ニルエンの手のひらの中にある魔力に惹かれて、だりあの中にあった異質の魔力が引きずり出される。
その瞬間、だりあの手首にあった紋章が一瞬にして消えた。
ニルエンの手のひらの中にあった魔力がルーミンに向かって注がれる。
完全にルーミンに向かって注がれ終わった後、ニルエンの手のひらの中にはまだ魔力の渦が残っている。
その魔力は真瑠に対して放出された。
真瑠がその放出される魔力の威力に耐え切れず、少し後ずさる。
『受け止めて!』
そう言われ、はっと我に返る。
全ての魔力が真瑠に返された後、術は終了した。
「…俺の魔力を媒介に…ってことだったんですね」
「そういうことです。私たちの魔力では、あなた達冒険者ほどのものは無いのです。確かに大きな術は使えます。ですが魔力の質はどう足掻いても冒険者の方が上なのです」
「それで、二人は…?」
そう言いながら真瑠がだりあの手首を確認する。
紋章はすっかり消えていた。
「紗杷は確かに…、他人の能力を拒否している状態でした。それが有効になり、あなたの魔力に惹かれ、全てを吐き出してきました。私はそのままその魔力をルーミン様に戻しました。後は…二人が目覚めるのを待つだけです」
「つまり、術自体は一応失敗で、結果的には成功と…?」
「そうです、私たちにとっては成功しました」
「良かった…」
真瑠は心底そう思った。
でも目が覚めるまでは安堵は出来ない…、そうとも考えていた。
「二人が目覚めるまで、私たちはここに居ましょう」
「はい」


――― 教皇執務室 会見の間

「取り敢えずですね、ニルエン大神官が入り口を何とか通してくれて、俺らがクトルラナックスを討伐出来たのですが、その時に、とてつもないっていうか…多分この世界では存在しえない者が紛れ込んだと言った方がいいか。その者が、クトルラナックスを被りこみ、4F内部へ侵入。その後、ビルド大神官を殺害。多分…そのクトルラナックスは殺害したとは思ってないでしょう。巨体をぶつけられ、ビルド大神官はその時点で息を引き取られた。その時に近くに居た青年…彼をクトルラナックスは連れ去った。ということがあったのです」
たばこが淡々と説明していく。
「それが、うちらが二人を救出してた時に起こってたことなのか?」
ヴォゴスがたばこに聞く。
「そうだ。それでそのクトルラナックスが、青年を捕まえたまま、また底に潜って行ったんだよ。だから地盤沈下っていうわけじゃないが、4Fは事実上崩壊した」
「ジェド」
「はい、教皇様」
「今の話聞きましたね?氷の洞窟に使者を送り、急進派の状態の確認と、ビルド大神官の遺体の捜索をお願いできますか?」
「分かりました」
ジェドがその場を離れた。
教皇が話を続ける。
「…急進派はこれで指導者を失ったのですから、落ち着いてくれることだと思います。皆さん本当によくやってくれました。心からお礼を述べます。アルナベルツの平和は皆さんの手で作られたと言っても過言ではないでしょう」
「それでは、取り敢えずは今後は教皇様の方でやっていけるということで宜しいですか?」
教皇にリニアが質問をした。
「ええ、ここまで来れば私たちでやっていけると思います。今は、ジェドの報告待ちと、後は…」
そこまで教皇が述べて、後ろを振り向いた。
「…大丈夫そうですね。術自体は、私たちにとって有利に終わったようです」
その場に居た全員が、ほっとため息をついた。
「取り敢えずは、皆さんまだここに居てもらえますか?」
リニアが全員に「どう?」という感じで目配せをした。
全員、拒否することは無かった。
「はい、大丈夫です」
全員の意思をリニアが告げた。


――― 教皇執務室 最奥

どれくらい時間が経っただろうか。
ルーミンの横に座り込んでいたニルエンが動いた。
「っ…」
ルーミンが目を覚ましたのだ。
「ルーミン様、お目覚めでございますか?」
「あなたは…ニルエンですか?」
真瑠は疑問に思った。
生まれてすぐ、閉じ込められたのに何で喋れて、しかもニルエン大神官を知っているのか…。
「ルーミン様、わたくしの事をご存知で?」
ルーミンは頷いた。
「僕を氷の洞窟に封印したことも、このアルナベルツで何が起こったことも、全部知っているんだ」
ニルエンは驚きを隠せない。
「申し訳ありません、ルーミン様。私たちは…」
「ニルエン、頭を上げてください。僕は君たちを咎めるつもりなどありません。むしろ妹を守ってくれていたことに感謝しているのです」
「ルーミン様…」
涙ぐみながらニルエンは自分の顔を袖で覆った。
そして、真瑠の存在に気がつき、ルーミンが声をかけてきた。
「君は…僕を助けてくれた冒険者だね。ありがとう、感謝しているよ」
真瑠は小さく首を横に振った。
「そして、彼女には…何も罪は無いのに迷惑をかけてしまった。今、起こしてあげよう」
そう言って、ルーミンはだりあの額に手をかざした。
何か気でも送ったのか、ルーミンが手を離した時、だりあが目を覚ました。
ゆっくりと目を開け、目の前に見えた人の名前を呼んだ。
「…真瑠?」
「うん?」
だりあが、身体を起こした。
そして近くに居た人の名前を呼んだ。
「ニルエン大神官…それにあなたは…。氷の洞窟で私を支えてくれた…」
「僕はルーミン。現教皇の兄だ」
「そうでしたか…、そうとは知らず…」
だりあが深く頭を垂れた。
「頭を上げてくれるかい?君は僕の為に頑張ってくれたんだ。君が頭を下げる理由は無いよ」
だりあは困った表情になっていた。
「ルーミン様、そして紗杷。立てますか?教皇様の元へ戻ろうと思いますが…」
ルーミンはニルエンに支えられながら、だりあは真瑠に支えられながら立ち上がった。
「それでは戻りましょう」

4人は、最奥の部屋から会見の間へ戻っていった。


――― パンヤ Lost Seaway

じゃぶじゃぶ…。
「さぁ、マスタ。もうちょっとだワニよ」
気を失っているケイタを抱えながら、はむはパンヤに戻ってきていた。
さっきまでラグナロクの世界に居たことなど知る由も無く…。
はむはかなり泳いでいた。
取り敢えず近くの浜辺にケイタを置いた。
「全くマスタはいつもどっか変なところ行ってるんだから。おっと、そうだ。マスタ捜す前に仕掛けた罠を見に行かなきゃワニね」
そう言って、はむは仕掛けた罠のある所まで泳いで行った。
「あった、あったワニ。この網を引っ張って…と」
はむが仕掛けていた網を引っ張ってケイタが居る場所に戻って行く。
浜辺に上がり、まだ網を一生懸命引っ張る。
その網の中には、20匹くらいの大き目のマグロが捕まっていた。
「さて、マグロパーティーをする準備をするワニ。ん?その前にこの服を脱ぐか…」
はむは、クトルラナックスと、サメと、マグロスーツをその場に脱ぎ捨てた。
いつもの浴衣の格好に戻り、ケイタを安全な所に寝かせた。
はむが気づくわけも無く、クトルラナックスの姿は、そこから忽然と消えていた。
「はー、楽になった。結構動きづらかったんだよねー」
と、言いながら、はむはどこからか持ってきたバーベキューセットを組み立てていた。
「マスタいつ起きるんだろー」
そんなことを言いながら楽しそうに準備をしていた。

パンヤの方は、落ち着きを取り戻し、楽しい宴会が繰り広げられようとしていた。



次回に続く。
次回最終話となります。

新規参入者
いーぐ、ママ、ヴォゴス、たばこさん、龍さん…かな?
教皇と、ルーミン、ジェド、ニルエン、ビルド、シピーはNPCな為除外。

今回、ミッドガルド考察スレッドを参照とさせて頂きました。
http://gemma.mmobbs.com/ragnarok/kako/117/1172005408.html.gz
本作品は、作者の独断と偏見の?架空作品です。ご了承ください。

それでは、前記事に書いたとおり、一時更新を休止します。
戻ってきたら、またどうぞ宜しくお願いします。





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なげぇ・・・
よし、やっと読み終わったぞー!
ROはやった事ないからあまりよくはわからないけど、ハムさんが場違いなのはわかったw

RO組の方々は結構真面目な人が多いのかなー?
うちらパンヤ組は変なの(失礼)ばっかだから、こういったシリアス展開には向かないかもw
くこ 2009/01/25(Sun)13:58:48 編集
Re:なげぇ・・・
>よし、やっと読み終わったぞー!
>ROはやった事ないからあまりよくはわからないけど、ハムさんが場違いなのはわかったw

いや、展開的に面白そうかなと…。

>RO組の方々は結構真面目な人が多いのかなー?

真面目っていうか、ROそのものを楽しもうとすると、自分だけのプレイではダメだからねぇ。
パンヤでいうなら、マッチをやってる感じで。

>うちらパンヤ組は変なの(失礼)ばっかだから、こういったシリアス展開には向かないかもw

いやだから、パンヤは前回はむさんに頑張ってもらったんだよ。
ROはモンスター相手だしなぁ。
Gvとかだと、戦略とかも関わってくるし、どちらかというと、全体的にシリアスかもしれないね。
sawa as dahlia  【2009/01/25 16:14】
乾燥
印象として、きぐるみ最強ですか・・・
@は、地味にマルボロ殿が美味しいとこを

|--)レオン殿は・・・
2009/01/26(Mon)00:36:51 編集
Re:乾燥
はむさん最強伝説ですね。
たばこさんはイメージ的にw
ファインは今回メインキャラではないので(
sawa as dahlia  【2009/01/26 01:12】
無題
クコさん曰く変なの1号です。
今のところ皆勤賞かな…?
ROやったことないけど、
RO世界だったら皆の盾になりたいなー。
とか言ってみたり。
はぐメタ 2009/02/03(Tue)02:09:58 編集
Re:無題
クコやんじゃなくて…。
クラメン総意だと思います(笑)

盾なら、騎士系か、アサシンではないでしょうか。
ぁ、クルセイダーなんて職もありますね。

今回ケイタのポジションは、チャンピオンという、修行僧のモンクが転生した形です。
威力重視のような感じかなぁ。
sawa as dahlia  【2009/02/08 08:46】
ぶふぉってなった!
ぶふぉってなった!
地面からモグラのように自分が出てくるなんて想像してなくてぶふぉってなった~!
牛乳とか飲んでる最中じゃなくてよかったよ~!
魚介きぐるみ3重かあ。最強?最強?
さめしっぽ、攻撃力あるしスーツ3重だから守備力ありそうだし~。

ねえ、でも、もし今度来たときキリ番踏んでたら魚介きぐるみ3重状態を書かなきゃになっちゃうよ~w
はむ 2009/02/19(Thu)01:06:38 編集
Re:ぶふぉってなった!
周囲の結論的に、最強伝説は浮上してるねぇ。

3重スーツのイラストはきっついなぁ。
せめて、浴衣くらいにしてください(笑)
sawa as dahlia  【2009/02/20 01:54】
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祝☆3000番突破!! キリ番3500番踏んだ方に、イラスト描きます。 (管理人友人のみへの提供です。)
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福祉関係の仕事をしながら、ヒーリングセラピストもしています。

何気に、へきらーです(笑)


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